石鹸と合成洗剤の歴史 1

こんにちは、凜としての入部です。今日は、凜としての主成分、石けんについてお話します。3回目のブログでも石けんを紹介しましたが、ちょっと別の角度からお話します。

石けんは、形や製法、特徴によって、種類が分けられています。大きくわけると2つ、固形石けんと液体石けんの違いを紹介します。石けんの原料は、動物や植物由来の油脂や脂肪酸です。脂肪酸に水酸化カリウムを加えて反応させて作る石けんをカリウム石けんと言います。水に溶けやすいので、液体石けんに使われています。油脂に水酸化ナトリウムを加えて反応させて作る石けんをナトリウム石けんと言います。固形せっけんや粉末石けんに使われています。「液体石けん」でまず頭に浮かぶのは、ハンドソープでは?それでも、家庭用のハンドソープが使われ始めたのは、1980年代の後半なので、まだ40年ほどの歴史しかありません。

石けんの歴史

今から約5千年前の紀元前3千年ごろ、メソポタミア文明を築いたシュメール族(今のイラク南部)で、羊毛の油を落とすために石けんが使われていたことが記録に残っています。古代ローマ時代の初期、サポー(sapo)の丘の神殿で、羊を焼いて神に供える風習があり、その時にしたたり落ちた羊の脂が木の灰と反応して自然に石けんができ、その成分が浸み込んだ土が汚れを落とす不思議な土として大切にされたと言うことです。英語で石けんのことをソープ(soap)と言うのは、このサポーの丘に由来すると言われています。千年ほど前にフランス(マルセイユ)やイタリア(サボナ)で、オリーブ油と海藻の灰から石けんが作られ、それが現在のような体を洗う石けんの始まりです。マルセイユやサボナは、オリーブと海藻が豊かだったので石鹸作りが発展しました。日本に石けんがやってきたのは、1500年代(室町時代)です。ポルトガル人が種子島に鉄砲を伝え、その後にいろいろな文化を伝えました。カステラ、トウモロコシ、メガネ、キリスト教などと一緒に石けんが伝えられたのです。ポルトガル語で、石けんのことをサボンと言いますが、日本語のシャボンはサボンから変化したものです。戦国時代から江戸時代になっても、「シャボン」は、将軍や大名などの限られた人たちだけが使用できたそうです。その頃の一般の人たちは、米ぬかや灰で身体をこすっていたらしいです。髪の毛は、うどん粉(小麦粉)で、洗っていたそうです。なんか、想像がしにくいですね。明治時代になってようやく外国の石けんが売られるようになりましたが、とても高価でなかなか買うことができず、一般の人はヘチマのようなものでこすり洗いをしていたそうです。たわしで洗っている感覚でしょうか?明治時代の末頃になって、やっと日本製の石けんが作られるようになりました。1873年、日本で初めて国産の石けんが横浜で製造販売されました。その後、花王石鹸(現・花王)、ライオン石鹸(現・ライオン)、牛乳石鹸、南洋貿易(現・太陽油脂)などが続々と石けんの生産を開始し、石けんが広く普及しました。

1920年代にシャンプーが登場するまで、石けんで髪も体も洗っていました。ですから、シャンプーを使うようになって、100年ほどと言うことになりますね。

しかし、現在の石けんの販売量は3万トンです。そして、驚くべきことに合成洗剤(洗濯用、台所用、住居用)の販売量は、109万トンにのぼります。日本の下水処理場は、全世帯数の76%程度まで整備されてきていますが、下水処理されない合成洗剤の24%、26万トンはそのまま水環境に捨てられています。それに下水処理場を通過する合成洗剤も十分分解されないことも分かっています。

今週は、このくらいにして、来週は界面活性剤について、今週の続きをお話します。

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