石鹸と合成洗剤の歴史 2

こんにちは、凜としての入部です。今回は前回の続きになります。

界面活性剤の歴史

第一次世界大戦中、ドイツで最初の合成界面活性剤が開発され、第二次世界大戦中に、植物油脂の不足を背景に、石油を原料にした合成界面活性剤が開発されました。戦後アメリカで、この合成界面活性剤にリン酸塩を加えた、家庭用の合成洗剤が発売されました。

日本では、1950年にアメリカから輸入され、日本でも生産が開始されました。1953年、三洋電気から電気洗濯機が発売されたのとテレビCMの効果で家庭に普及し始めました。そして、合成洗剤が入ってきて、たった13年目の1963年に合成洗剤の生産量が石けんを上回りました。合成界面活性剤は登場した時から、流れ出た合成洗剤で川が泡立ったり、手荒れなどの皮膚障害が発生したりしました。1974年に合成洗剤による人体と生態系への影響について、一気に社会問題になりました。自治体でも石けんを使用する運動が盛んになりました。こうした結果に対して、洗剤メーカーは、合成洗剤に配合してきた「リン酸塩」の使用をやめました。(以降、無リン洗剤と呼ばれました)リン酸塩は、アオコや赤潮の原因になります。

私たちの暮らしには様々な化学物質が溢れています。これらは、人の健康や多くの生物に影響を与えています。1999年に「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」という、長い長い法律が提案、審議され、可決、制定されました。この法律によって、354の有害化学物質が第1種に指定され、2014年には462物質に増加しました。指定されたからと言って、禁止されたわけではありません。全国でこれらの有害化学物質の排出量の多かった上位の1、3、4、5位が洗濯用・台所用・体用・歯磨き用に使われている合成界面活性剤です。2位は衣類の防虫剤やトイレの消臭剤に使われているものでした。

前回も話しましたが、1960年代に合成シャンプーが発売されると、それまで石けんや、粉石けんで髪を洗っていた人のほとんどが合成シャンプーを使うようになってしまいました。最近のシャンプーはラウレス硫酸Naを主原料に、何種類もの合成界面活性剤、着色料、香料、防腐剤、酸化防止剤を添加したものが主流になっています。シャンプーをした後1分間お湯でしっかりすすいでも、合成成分は20%残っています。残留した合成成分は髪や頭皮に悪影響を与えます。それとは逆に石けんはタンパク質と結合する力がないので、頭皮や髪に残留することがありません。ノンシリコンシャンプーが多く発売されていますが、毛髪へのコーティング剤としてのシリコーンをやめれば髪へのシリコーンの残留はなくなりますが、他の合成界面活性剤が入っていれば、何の改善にもなりません。石けんシャンプーは毛髪に結合しませんので、髪がきしむことがありますが、酸性のコンディショナーを使用したり、ホホバオイルなどのオイルを少量使用すれば解決します。石けんや石けんシャンプーで髪を洗うと、最初は泡立つのに、すぐに泡が消えることがあります。それは汚れの表面に吸収し始め、活性成分が少なくなっていくからです。石けんシャンプーを使用する場合は、最初によくブラッシングしてほこりを落とし、お湯でよくすすいでヘアオイルなどを落としてから使用するようにします。そうすれば泡立ちは良くなります。泡が無くなってからこすりすぎると髪を傷めてしまいますので、泡立てて使用してください。

今年もあと10日になりました。7月から始めた「凜として」のブログも25回!

来年も、お待ちしておりますので、よろしくお願いします。新春の1回目は11日からです。お正月休みなど、お時間がある時に、過去のブログも読んでみてくださいね。

それでは、皆様、よいお年をお迎えください。

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